皆さんは「予備校」とか「塾」という言葉の違いってよく分かりませんよね。
それもそのはず、当然です。
一般世間で「予備校」も「塾」も定義がごちゃごちゃのまま、塾の形式なのに予備校、予備校の形式でも塾と名前がついているところがあります。
予備校と名前がついているけど高校卒業生の授業がなかったり・・・。
文部科学省では高等学校卒業者と正式に命名
高校を卒業していないと高等学校卒業程度認定試験に合格する必要があるのです。
高校生はまだ高等学校卒業者ではなく「高等学校卒業見込み者」です。
高校生は卒業をするであろうという前提で、高等学校見込み証明書を発行してもらいます。
一方、高等学校卒業者は高等学校で取るべき単位を全て取って卒業しているので、高等学校卒業証明書を発行してもらえるのです。
浪人生、現役生という呼び方は間違い
浪人生、現役生という言葉も間違っていて、
現役の対義語は引退、せいぜいOB。
浪人は戸籍に登録された地を離れて他国を流浪している者のことを意味していて、日本史では出てくる言葉ですが、勉強する人に対して俗語としても正しい意味をなしていません。
高校の単位を全て取っている勉強生の、大学受験準備期間は高校卒業生、高卒生、卒生という名前が正しいので、浪人生という呼び方をしているところは間違っています。
さて、高校卒業生についてご理解頂けたところで本題に。
予備校
朝から高校卒業生を対象とした授業を行っている
午後から高校1年生、2年生、3年生の授業がある
英語・数学・国語・理科・地歴すべての科目を学べる
国公立大学 私立大学 理系 文系 医学系 クラスがある
これらは当たり前のことではありますが、実情は予備校と言う名前からはずいぶんとかけ離れているところもあるようです。
大学受験予備校は大学受験対策に特化しています。
受験生の大学受験合格を目的とする教育機関ですから、大学受験に必要な教科、科目、レベルが求められます。
大学受験予備校の最大の武器は各大学別の入試情報が豊富な点です。
しかも年数回模擬試験で、学習の成果を図り、大学受験対策を行効率的に学習し、最短距離で大学合格が目指せる、それが大学受験用予備校です。
第一目標は大学合格
「予備校」の対象は本来は高校生と高卒生
「○○予備校」と名前がついていても、実質、内容は塾の場合が多いようです。
交通機関における学生割引は建物の面積による条件があるため、
学生割引がある無いは予備校と塾の違いには関係ありません。
また、学校法人でも高校生しか対象にしていない校舎は当然、学割はないのです。
生徒の人数も関係なく、多いから予備校、少ないから塾ということでは有りません。
比較
東京大学約 3,000人
日本大学約 70,000人
どちらも総合大学ですが、約20倍以上も差がありますね。
政府機関の日本政策金融公庫を利用できるのは正式な総合予備校
総合予備校
高校生コースと高卒生コースがあり、学校の授業のように教室で皆同じ授業を受けます。
予備校はさらに人数によって個別指導型、少人数、大人数制などに区分けされています。
大学や学部、学科、科目別など志望校に合わせて受験科目を選択します。
周りに大学合格を目指す受験生が集まっているので、勉強に対してのモチベーションの維持には非常に最適です。
ただし、大人数だと講師に質問できるチャンスはあまりなく、目的意識をしっかりと持っていないと授業において行かれる可能性も。
そうした受験生が出ないように少人数制と人数を限定しているのは学生にとって非常に有利なことなのです。
予備校の側の個々のフォローも様々で、授業を担当した先生に質問が出来るか出来ないかは生徒の人数の大小で大きく異なってきます。
文部科学省の国立教育政策研究所
『学習効果を高めるには、少人数クラス編成が理想的』
国公立大学の大学の講義は少数精鋭教育であることからも、
少人数=ゼミ形式は生徒さんにとって最高の勉強環境です。
塾・予備校の理想形態=少人数制
少人数 vs 大人数
勝 少人数制 >合格率の高さ > 負 大人数制
勝 少人数制 >親身な指導 > 負 大人数制
勝 少人数制 >授業に集中できるか > 負 大人数制
勝 少人数制 >質問のしやすさ > 負 大人数制
勝 少人数制 >周囲からの刺激 > 負 大人数制
勝 少人数制 >学習理解度の確認 > 負 大人数制
勝 少人数制 >先生の質 > 負 大人数制
個別指導予備校
先生一人に対して受験生1人か2人のマンツーマン形式です。
いつでも先生に質問でき、わからないところはわかるまでいつまでも学習できます。
集団の授業ではついていけない生徒さんに最適です。
デメリットは、先生との相性が悪いと逆に学習効果が下がり、勉強そのものが嫌いになることも。
こうした状況にならないように先生を変えられるシステムを取っている所も増えています。
先生は大学生の場合が殆どで、いい先生でも途中で辞めてしまうことがあります。
また、授業料は総合予備校に比較して科目あたりの単価が高額になってしまいます。
大学受験に必要な全科目を対策するには不向きで、苦手科目を補強する目的で利用する人が多いようです。
現役生対象予備校
高校生のみ対象の午後からだけ授業がある予備校です。
一般入試よりもAO入試や推薦入試を目指す人を対象としている予備校が多いです。
そのためいわゆる難関大対策とか医学部受験などを目標としている生徒さんには合っていないことが。
面接試験対策に、発表型の授業など、通常の授業以外の指導が行われている場合もあります。
医学・歯学・薬学受験専門予備校
医学部をはじめ、歯学部、薬学部、獣医学部、看護学部など医学系の大学へ進学を希望する学生のための予備校です。
なかでも医学部は人の命に直接関わることからも偏差値が高く、試験も難しいです。
そのため10名以下の少人数授業できめ細かな指導をうたっているのが医学部専門予備校です。しかし、一般的な予備校と比較して、桁違いに授業料が高いのが特徴で、講習費用などを含めると授業料が年間500万円から1,000万円を超えることも!あるようです。
注意して頂きたいのが、医学・歯学・薬学受験専門とうたっているにも関わらず、生徒さんの学力に見切りを付けて全く違う学部を薦めたり、医学部コースにも関わらず医学部の合格率が10%程度しかいないなんていうこともあります。
前評判やイメージだけで入学すると多額のお金がかかることがありますのでご注意ください。
塾
塾は高校生を対象としているところもありますが、基本的には小中学生対象です。
第一目標は 学校の補習~弱点強化
小中学生だけを対象とする予備校はありません。
対象学年が下がるほど、授業以外のさまざまなサポートの必要性が高くなります。したがって塾にはサポートが多くて学習内容の補助を行う目的で、本人のレベルに合わせた、落ちこぼれることの無い授業を行います。
専任教師は多くいないですので、高校生の部門があったらそれは映像授業だけの塾もあります。
学習塾は大学受験対策というよりは、小学校、中学校に通う児童向けに、学校での学習内容の補助を行う目的な場合が多いです。
ホワイトボードなどに書いて授業を行っているところが多いようです。
進学塾
メリットデメリット様々あります。
放って置いても勉強をどんどん勧めていける生徒さんは別として、一度つまずいたら取り残される危険性もあります。
まとめ
予備校と塾はどちらが上とか下とか、いいとか悪いとかでは無く、そもそも対象としている生徒さん、目的としている教育がお互い全く異なるものなのです。
学校と塾が異なるように、予備校と塾も異なるのです。
「○○大学に合格したい」「○○学部に行きたい」と思っている高校生以上の方は本来、名前ばかりではなく、きちんと予備校の定義、条件、形態をなしている真の大学受験予備校に通いたいですよね。
授業の後に直接質問ができる、家庭学習まで指導して貰える少人数制なら言うことなしです。